きつね、きつね、きつねがとおる H25.6.10(月)

b250きつねがとおる

 題名 きつね、きつね、

      きつねがとおる

作 伊藤 遊

絵  岡本 順

出版社 ポプラ社

メモ: 第17回日本絵本賞受賞。京都で生まれ育ち、子供の頃は祖母から古典の話をよく聞いていたそうです。古典の世界が実在する京都。そんな古都の空気を感じながら育ったことが作品に影響しています。他の作品でも京都の神社が舞台のものなど・・・。

いいなあ、大人は何でも見ることができて。でもね、子供にしか見えないものもあるんだよ。それはね・・・

 主人公の女の子は、家族で出かけると「見えないよ~。」っていう思いをしています。花嫁さんがいた時も人ごみで見えない。きれいな庭のお花も塀が高くて見えない。レストランでもコック達の様子がカウンターが邪魔で見えない。弟は抱っこや肩車で見えるのに、私は見えない。レストランの帰り道、河原で狐火を見た。狐の嫁入り行列、きつねのコックさん、きつねのお祭り…でも、お父さんお母さんには見えない。子どもにしか見えない狐…また会いたいな。会えるよねきっと。

「見えないよ~、見せて!」っていう思いをしたことがありますよね。そんな気持ちに狐火を絡め、不思議で、ちょっと素敵な余韻の残る作品です。子供達に読んであげると、前半は背伸びをしても見えない女の子に共感している様子。後半は狐火との出会いに変化しますが、ちょっと怖いように思う子もいるようです。でも、徐々に不思議な世界に引き込まれていきます。子供にしか見えない狐たち。ファンタジーです。ひょっとしたら、この子達にも何か見えているかもしれませんね。