「太陽の色は何色?」 H24.7.20 (金) 曇り時々雨

早いもので、今日で1学期も終わりです。4月に入園した子ども達も幼稚園の生活を楽しんでいますね。2学期は運動会もあります。様々な経験を通して、子ども達はいっそう成長していくことでしょう。

さて今日は、年長の担任の保育日誌に記載されていた事を紹介します。

以下、日案・保育日誌より

本日は体操を行いました。子ども達は跳び箱が大好きです。少しでも高く跳ぼうという気持ちからか、週をおうごとに上達し、大変驚いています。成果が分かりやすくて、少し難しいものは、子供の心に火をつけるのだなと感じました。

また、最近興味深く感じたことがあります。年長から入った子がいるのですが、その子が絵を描くときに太陽を黄色いクレパスで描くのです。他の子は皆、赤で描きます。何故だろうと考えてみると、環境の違いなのだと気付きました。その子は、入園直前までインドに住んでいました。インドの国旗は黄色を基調として、中心に丸い太陽のような形が描かれています。そして、これこそが先入観なのだと思いました。子供はいつから太陽を赤で描くようになったのでしょうか。絵本やテレビで見たり、他の人が描いたものを見たからではないでしょうか。先入観から開放されたとき、子供の表現力はもっと豊かになっていくのだろうなと感じました。

この担任は、インドから帰国した子が黄色い太陽を描くことに関心をもち、それを調べるうちに自分自身も「太陽は赤」という先入観にとらわれていることに気付きます。私もこの事に大変興味を持ち、丁度そこにいたベルリッツの先生(オーストラリア人)に尋ねました。

「あなたの国では、太陽を何色で描きますか。」

答えは即答、yellow です。

「だって太陽は黄色に見えるでしょ。子供の時からみんな黄色で描いています。」

なるほど、世界的に見れば黄色い太陽が主流で、赤い太陽を描く国は日本だけかもしれません。確かに太陽は黄色か白に近い。早速、アメリカ人とスペインの友人にも聞いてみました。答えは黄色。

日本人が「太陽は赤」と考えるのは、それこそ国旗の影響ではないでしょうか。

「太陽は赤い」という先入観が、無意識に植えつけられているのですね。歌詞や絵や文章表現においても、太陽は赤なのです。そういった先入観は、既成概念となって表現を規制してしまいます。 私自身、小学校の図工の時間に「校庭に出て好きなものを詳細に描きなさい」という課題で、桜の木の幹を描きました。よく見ると茶色ではなく、緑や黄色や黒、ありとあらゆる色が存在していました。それをそのまま描いたら、図工の先生にビックリするほど褒められて、それこそビックリしたのを覚えています。

人は先入観の中で生活しています。それは必ずしも悪いことではないのですが、

その先入観を取り除いたときに、見えないものが見えたり、間違いに気付いたり、他の考えや違いを認めたりして、世界が広がることは確かです。

そして教育には、この担任のように「違いを認めて、違いに感心し、興味関心を持って、新たな見方を広げていく」気持ちが大切です。そうした寛容の中で、子ども達は自由な活動を保証され、新しい表現を開花させていくのですから。