今日の絵本(2012年度)
「かぶとむしのぶんちゃん」 H24.9.11(火)
題 かぶとむしのぶんちゃん
作 高家博成・仲川道子
出版社 童心社
メモ:カブトムシは力持ち。足場があれば、1~2kg 位の荷をのせた玩具の車を引張ります。雄の体重は大きくても10gほどですから、体重の100~200倍です。
日が暮れると眼は赤く光ります。夜の活動に適するようになるからです。
~絵本あとがきより~
かぶとむしのぶんちゃんが虫達と木の蜜を吸っていると、三匹のくわがた現れました。 「どけどけ、そこは俺達の場所だぞ。」 クワガタは、ハサミ虫やカナブン達をはさんで投げ飛ばします。
「こらやめろ!意地悪するくわがたこそ、あっちへ行け。」と、ぶんちゃんは怒りました。そして、クワガタと戦いが始まりました。 「えいっ」、「やあっ」っと、自慢の角で投げ飛ばします。ぶんちゃんは強いな。みんなは、お腹が一杯になるまで蜜をのみました。
前回までに、クワガタとダンゴムシのお話を紹介したので、今回はカブトムシです。これも毎年この時期に読んでいますが、子供たちが大好きな絵本です。でも、ここでのクワガタはお決まりの敵役です。前回紹介したように、クワガタはいつも暴れん坊で悪者ですね。子供たちが飼っている虫も、クワガタよりもカブトの方が多いようです。身近で、格好いい、そしてどこか可愛らしいカブトムシは人気者ですね。一番盛り上がるのは、クワガタとの戦いの場面です。このような場面では、語気を強めて読むと良いですよ。H20年7月22日紹介の「カブトくん」も良い本です。
「くわがたのがたくん」 H24.7.25 (水)
題 くわがたのがたくん
作 高家博成・仲川道子
出版社 童心社
メモ:クワガタの角は、角でもハサミでもなく、アゴです。
アゴは戦いの武器。オス同士を一緒にしておくと、噛み合って体を穴だらけにしてしまいます。メスの短く鋭いアゴは、枯れ木に傷をつけて卵を産むために使います。幼虫は、枯れ木を食べて成長し、1~数年後にサナギを経て成虫になり、数年間生きるものもある。
~絵本あとがきより~
コクワガタのがたくんは、ピカピカのアゴが自慢です。蜜を吸っている虫達に大威張り。そこへ大きなヒラタクワガタくんがやってきて、「僕の方が大きくて立派だよ。」
ミヤマクワガタくんとノコギリクワガタくんもやってきて、
「なんだそんなアゴ。僕達の方が格好いいぞ!」
そしてオオクワガタくんもやってきて、「誰が一番強いか決めようぜ。」と言いました。大きなオオクワガタくんに、ヒラタ、ミヤマ、ノコギリくんたちはあっという間に投げ飛ばされてしまいました。「次は僕が相手だ。」と、がたくん。素早い動きでオオクワガタくんには捕まりません。隙をついて、足にガブリ。「イタタ!」とオオクワガタくんは枝から落ちてしまいました。
小さくても、がたくんは強かったね。
同じシリーズの「くわがたむしのがたくん」、「ころちゃんはだんごむし」、「かぶとむしのぶんちゃん」の3冊を手に持って、一番読んで欲しい本をリクエストしてもらいました。いつも「くわがたのがたくん」が1番人気です。かぶと虫が主人公の本は多いですが、クワガタはカタキ役のことが多く、脇役ですね。ですから、みなさん読みたいと思うのでは。
「ころちゃんはだんごむし」 H24.6.29(金)
題 ころちゃんはだんごむし
作 高家博成・仲川道子
出版社 童心社
メモ:ダンゴ虫は虫ではないんです。えびと同じ甲殻類です。そして元々日本にはいなかったんです。100年程前に、ヨーロッパから入ってきて帰化しました。1週間おきに脱皮して少しずつ大きくなります。
~絵本あとがきより~
ダンゴ虫のころちゃんは、まだ小さな子供です。落ち葉をたくさん食べて、お散歩に出掛けたら迷子になってしまいました。そこへ怖いカマキリがやってきた。ころちゃんは丸くなって身を守ります。でも、カマキリに蹴っ飛ばされて、穴の中へ落ちてしまった。今度はモグラに襲われそうになる。「危ない!」 間一髪のところでセミの幼虫に助けられました。よかったね。苦難を乗り越え、ちょっぴり大人になったころちゃん。そろそろ皮を脱ぐ頃だよ。脱皮したころちゃんは少し大きくなったようでした。
子ども達はダンゴ虫が大好きです。ちょっと石や落ち葉をめくれば沢山いるし、くるんと丸まるのが楽しいし、歩く姿もユーモラス。昨日、あるお母さんが言っていました。「庭にいくらでもいるのに、何故か家の中でも飼っているんです・・・。」分かります、その子の気持。私も子供の頃飼っていましたから。ですから今日読んだときも、可愛いダンゴ虫の冒険に子供達は釘付けでした。今度ダンゴ虫を捕まえるときには、違う見方をするのかな。
幼稚園に入る前の小さな子も楽しめるお話です。
「かえるのレストラン」 H24.6.26 (火)
題 かえるのレストラン
作 松岡 節
絵 いもと ようこ
出版社 ひかりのくに
メモ:松岡節さんと、いもとようこさんの名コンビによる作品。「今日の絵本(2008年度)」で紹介した「ポカポカホテル」も同じコンビです。他に「さよならのうた」も楽しくてお薦めです。
池にかえるのレストランがありました。池に浮かんだ蓮の葉の上です。毎日色々な虫達がやってきて、お茶を飲んだり、パンを食べたりしていきます。ある日、蝶のリクエストで蓮の茎をナマズのヒゲに結び付けて、動くレストランにしました。楽しいレストランに蝶も大喜び。ところが困ったのはカタツムリのお客。いつものように柳の枝を伝わってやって来たのに、レストランがありません。でも大丈夫。亀さんタクシーに乗せてもらって無事にたどり着きました。そして、もう遅い時刻なのでレストランに泊まることにしました。さて、その晩カエルとカタツムリが見たものは・・・。
もう8年間この本を読んでいますが、絶対に楽しんでもらえる絵本です。ザリガニやナマズ、カメなど登場する生き物達も個性があり、キャラクターがハッキリしています。また、大きく描かれているので、読み聞かせにはもってこいです。ナマズなどの大きな生き物は低い声でゆっくりと、小さいのは高い声で早く読むのがコツです。カエルは少し声を濁らせて、カタツムリはのんびり屋さんらしくゆっくり、頼りなげに読むと楽しいです。昨日の「文化たより」でも蛍を紹介しましたが、絵本でも最後の場面で飛びますよ。
「999ひきのきょうだい」 H24.6.19(火)
題 999ひきのきょうだい
文 木村 研
絵 村上康成
出版社 ひさかたチャイルド
メモ:後にシリーズ化された「999ひき」シリーズの第一弾。英語版も出ています。タイトは “999Tadpoles”。
オタマジャクシは英語でtadpoleっていうんですね。
かえるのお母さんが999個の卵を産みました。卵からオタマジャクシがかえるなか、1つだけ卵のままで残っています。それは一番先に産んだお兄ちゃん卵。耳を当てると中からイビキが聞こえてきます。そこで、お母さんが「早く起きなさい。」と怒った途端、大きなオタマジャクシになりました。大きなお兄ちゃんは、弟達の人気者です。ある日、既にカエルになった弟達と、大きなオタマジャクシのお兄ちゃんはかくれんぼをして遊んでいました。そこへ、蛇がオタマジャクシを食べようと近づいてきました。お兄ちゃんのピンチ!弟カエル達は力を合わせてお兄ちゃんを助けようとしますが、蛇にはかないません。さて、お兄ちゃんはどうなるのかな?そして無事にカエルになれるかな?
子ども達に999とはどのような意味があるのでしょうか。それは、「途轍もなく大きな数」を想像するようで、題名を読んだ途端に、「え~?!999だって~。」、「わ~。」と歓声やドヨメキが上がるほど。年長さんが反応すると、年少さんも一緒に、「すごいねー。」、「ねー、すごいね。」と顔を見合わせて驚く様子が可愛いです。実際にその意味は分かっていなくても、年長児からの刺激を自分のものとしてとらえ、そして雰囲気で楽しむことも大切です。
「そらとぶパン」 H24.5.22(火)
題 そらとぶパン
作 深見春夫
出版社 PHP研究所
メモ:作者は1937年生まれなので、この絵本が出版された2001年は64歳です。こんなに可愛らしい話が書けるなんて、素晴らしい創造力ですね。尊敬です。
芸が細かい;食事の場面で、皿の上にパンがのっています。小さい絵ですが、よく見て下さい。次のページで見開き一杯に大きく描かれた色々なパンと同じです。
トンネルの中からいいにおいがしてきました。中から大きな焼きたてのパンがレールの上を走ってきました。パンは駅で子供たちを乗せて空へと舞い上がります。空では雲のソフトクリームをペロペロなめました。そして大きな雲の中に入ると、中はパンの国でした。木も家も人もパンでできています。
パンの国で色々なパンを食べました。たこのメロンパンや車のパン、枕のクリームパンなど面白いものばかり。でも、突然パンの怪獣が現れて、人間達は食べられてしまいました。怪獣のお腹の中で子供たちは泣いています。さて、この先どうなる?
この絵本は小さな子から小学校低学年くらいまで楽しめるので、毎年この時期に読んでいます。子供たち皆が楽しさを共有できて、とても良い絵本です。
色々なパンが出てくる場面では、どのパンを食べたいか子供たちに聞いてみましょう。「自分なら」という気持ちが物語へ引き込みます。怪獣のお腹のパンをちぎって外へ脱出する場面では、みな大笑いです。そして、「おへそに穴があいちゃったよ。」と台詞を付け加えれば、更に盛り上がります。読み方の工夫で、何回か笑いの渦が起こる本です。